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授業におけるゲームのレフリーについて
タグラグビーは、子どもたちだけでも十分にゲームを進めていくことができますが、子どもたちにとって初めて知るボールゲームなので、授業の最初は先生がルールを説明しながらレフリーをすることも多いと思います。
そこでここでは、レフリーをする上で気をつけるポイントを、タグラグビーのゲームの進行にそって説明していくことにしましょう。レフリーの役割は、反則を見つけて取り締まることではありません。できるだけ反則が起こらないように子どもたちのプレイを導くことで、みんなで楽しくゲームができるようにしてあげてくださいね。
■基本的ルールのゲーム
1.ゲームの開始で
ジャンケンに勝った攻める側がコート中央の×から味方の誰かへパス(フリーパス)することからゲームが始まります。
《レフリーが気をつけるポイント》
この時、ジャンケンに負けた守る側は、5m下がらなければなりません。授業では大きく3歩下がることでもよいですが、タグを早くとりにいきたいがゆえに、きちんと下がらない子も中にはいます。レフリーは、守る側のプレーヤー全員が下がったのを確認してから、「はい、パス」と攻める側にコールしてゲームを始めるとよいと思います。
フリーパスを最初にもらう攻める側のプレーヤーは、フリーパスをする人の後ろ2m以内に立ち、パスをもらってから走り出すことになっています。勢いよく走り込んできてパスをもらおうとする子がいたら、「守る側と衝突する危険があるからだめだよ」とはじめに注意してあげましょう。
2.フリーパスの後の攻めるプレーで
攻める側のプレーヤーは、ボールを抱えて走ったり、パスをしたりしながら前へ前へと進んでいき、相手のインゴールまでボールを運んで得点することを目指します。
《レフリーが気をつけるポイント》
- ボールを持っているプレーヤーは、前後左右のどの方向へも自由に走ることができますが、相手にぶつかっていったり、相手を突き飛ばしたり、タグをとりにくる相手の手を払ったりしてはいけません。身体接触をしないで走るように「相手のいないところへ走ろう」と繰り返し声をかけてあげてください。攻める側が原因で接触が起こった時は、笛を吹いてゲームを止め、その地点から相手側のフリーパスでゲームを再開します。ゲーム再開のフリーパスの時も、守る側は5m下がらなければなりません。この時も、守る側になったプレーヤー全員が下がったのを確認してから、「はい、パス」とコールするようにしましょう。
- タグをとられないように、身体をくるくると回転させてはいけません。とくに、一回転以上の回転は前を確認できずに衝突へつながるので、回転をする子がいたら最初に注意してあげましょう。
- パスはいつ誰にしてもかまいませんが、前に投げてはいけません。真横へのパスはOKです。ボールを前に投げてしまった場合は、「スローフォワード」という反則です。笛を吹いてゲームを止め、その地点から相手側のフリーパスでゲームを再開します。スローフォワードの反則は、前へ投げてしまう人よりも、前方へのパスになってしまう位置に先回りしてパスを受けようとするプレーヤーに原因があることが多いものです。「ボールを持っている人を追い越さないで」「ボールを持っている人のお尻が見える位置につこう」といった声かけを積極的にしてあげてください。
3.フリーパスの後の守るプレーで
守る側のプレーヤーは、ボールを持って走ってくる攻める側のプレーヤーのどちらかのタグをとることで、その前進を止めることができます。
《レフリーが気をつけるポイント》
- ボールを持って走っているプレーヤーは、左右どちらかのタグをとられたらすぐに走るのをやめて、ただちにボールをパスしなければなりません。めやすは3歩以内に止まってパスをすることです。守る側のプレーヤーは、タグをとったら大きな声で「タグ!」とコールしなければなりませんが、この声がボールを持っている子に聞こえないこともありますから、レフリーはタグをとるプレーが起こったらすぐにボールを持っている子に「パスして」と声をかけてあげましょう。
- タグをとったプレーヤーはそのタグを手渡しで返すまで、タグをとられたプレーヤーはとられたタグを受け取って再び腰につけるまで、次のプレーをすることができません。時には、タグを返してもらう前に走り出してしまい、再びパスをもらってしまう子もいます。タグを2本つけていないのにプレーすることは反則ですから、そのような時は笛を吹いてゲームを止め、その地点から相手側のフリーパスでゲームを再開します。
- ボールを持っていたプレーヤーが、タグを取られてから3歩以上走ってしまった時は、タグをとられた地点まで戻ってパスをやり直しさせます。(基本的ルール)タグをとられたらすぐに止まってパスができるように、いつも全速力で走るのではなくて、方向を変えたりしながら相手をうまくかわして走るためにも、ボールを持った時には少しスピードを落として走るようにアドバイスしてください。
- タグをとられたプレイヤーが行う最初のパスは、守る側はとることができません。もしとってしまったら反則ですから、笛を吹いてゲームを止め、その地点から相手側のフリーパスでゲームを再開します。(基本的ルール)タグのあとの最初のパスでも、地面に落ちてしまったら誰でも拾うことができます。
- 守る側も身体接触をしないように守らなければなりませんから、相手をつかんだりぶつかっていってタグをとったりしてはいけません。また、手を大きく横に広げて守るのも接触につながるので反則です。これら守る側が原因で反則が起こった時は、笛を吹いてゲームを止め、その地点から相手側のフリーパスでゲームを再開します。
4.タッチラインで
ボールを持ったプレーヤーが、タッチラインを踏んだり越えたり、パスしたボールがタッチラインの外に出てしまった場合は、その地点から相手側のフリーパスでゲームを再開します。
《レフリーが気をつけるポイント》
タッチに出てしまった側は、ゲーム開始や反則のあとの再開の時と同じく、5m下がらなければなりません。守る側になったプレーヤーの全員が下がったのを見てから、「はい、パス」とコールしてあげましょう。
- タッチに出てしまった後の再開のフリーパスも、前に投げることはできません。
5.インゴールで
攻める側のプレーヤーが、相手のゴールラインを越えたインゴールの中に走り込んでボールを置けば「トライ」で1点となります。
《レフリーが気をつけるポイント》
- 攻める側のプレーヤーがインゴールにボールを置いたら、レフリーは笛を長く吹いて「トライ!」と大きな声でコールしてあげましょう。
- 地面が堅い校庭や体育館などでゲームを行う場合は、ゴールラインを越えるだけでトライとすればよいでしょう。
- タグをとられた直後に、3歩以内でインゴールに入ってトライした場合は、故意に止まらなかったのでなければトライを認めます。(基本的ルール)授業の最初は、できるだけたくさんの子どもがトライできるゲームにすることが望ましいでしょう。
- トライの後は、ゲームの開始時と同じように中央の×からトライされた側のフリーパスでゲームを再開します。守る側になったプレーヤーの全員が下がったのを見てから、「はい、パス」とコールしてゲームを再開しましょう。
6.その他
地面に落ちたボールは立ったまま拾うように注意しましょう。落ちているボールにダイビングしてはいけません。また、タグラグビーではキックも禁止です。
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《レフリーが気をつけるポイント》
- これらを含め、これまでに紹介してきた全ての反則は、反則があった地点から反則をしなかった側のフリーパスで再開します。
- 反則がインゴールの中やゴールラインまで5m以内で起きた場合は、ゲーム再開のフリーパスはゴールラインから5mの地点で行うようにします。
■発展的ルールのゲーム
1.ノックオンについて
タグラグビーでは、パスをとりそこねて前に落とすと、スローフォワードと同様にボールを手で前に進めたということで反則になります。これを「ノックオン」といいます。
《レフリーが気をつけるポイント》
- ノックオンが起こったら笛を吹いてゲームを止め、その地点から相手側のフリーパスでゲームを再開します。(発展的ルール)
- ボールを落としても、真下や後ろへ落とした場合はノックオンではありません。地面に落ちたボールはダイビングしないで立ったまま拾えば、誰が拾ってもOKです。
- ノックオンの反則は、タグラグビーをはじめた当初の基本的ルールでは反則にしなくてよいでしょう。ボール扱いに慣れてくるにしたがって導入していけばよいです。
2.オーバーステップについて
ボールを持って走っているプレーヤーが、左右どちらかのタグをとられた後に3歩以上走ってしまった場合は、「オーバーステップ」という反則にします。
《レフリーが気をつけるポイント》
- オーバーステップが起こったら笛を吹いてゲームを止め、その地点から相手側のフリーパスでゲームを再開します。(発展的ルール)
- オーバーステップの反則は基本的ルールでは反則にせず、タグをとられた地点まで戻ってパスのやり直しでしたが、発展的ルールでは反則にします。
- とくに、走るのが速い子がタグをとられた後にズルズルと動いてしまう結果、守る側との接触が度々見られるような場合は、早めにオーバーステップの反則を導入するとよいでしょう。
3.タグの回数について
守る側がタグを4回とったら、攻守を交代することにします。
《レフリーが気をつけるポイント》
- レフリーは、守る側がタグをとる度に、「タグ1」「タグ2」「タグ3」とコールしていき、「タグ4」の後に長く笛を吹いてゲームを止め、その地点から相手側のフリーパスでゲームを再開します。(発展的ルール)
- タグの回数は、タグをとられた時にまだそのプレーヤーがボールを持っていた時のみ数えます。パスをした後にタグをとられても、回数にはカウントしません。
- 4回めのタグがゴールラインまで5m以内で起きた場合は、ゲーム再開のフリーパスはゴールラインから5mの地点で行うようにします。
- 攻守交代となるタグの回数は、コートのたての長さと子どもたちの走る能力に応じて決めるとよいでしょう。例えば、コートが短ければ3回、長ければ5回で交代するといったようにです。
4.ゴールライン直前でのタグについて
ゴールライン直前でタグをとられ、その直後にインゴールに入ってトライしても、トライは認めません。トライは、2本のタグをつけたままのものをトライとします。
《レフリーが気をつけるポイント》
- レフリーは笛を吹いてゲームを止め、ゴールライン直前でとられたタグが4回めだったら攻守交代、まだ3回め以内だったらタグをとられた地点まで戻ってその回数からパスをやり直します。(発展的ルール)
- 基本的ルールでは、タグをとられても3歩以内でインゴールに入ってトライした場合、トライが認められていましたが、発展的ルールでは少し厳しくします。
- タグをとられた地点がゴールラインまで5m以内で起きた場合は、攻守交代のフリーパスや戻ってパスをやり直すのは、反則の後のゲーム再開と同じくゴールラインから5mの地点です。
5.オフサイドについて
タグラグビーの「オフサイド」は、ボールを持っている攻める側のプレーヤーのタグをとった直後に、守る側のプレーヤーに起こる可能性がある反則です。攻める側のプレーヤーがタグをとられると、その人から真横にオフサイドラインが生まれ、それより前の範囲はオフサイドの位置となり、守る側のプレーヤーはプレーできなくなります。
《レフリーが気をつけるポイント》
- このオフサイドの位置に立って、タグをとられた後に行われるパスをとったり、そのパスをもらう人の近くまで近寄っておいてタグをとるといったプレーがオフサイドの反則となります。オフサイドが起こったら笛を吹いてゲームを止め、その地点から相手側のフリーパスでゲームを再開します。(発展的ルール)
- 基本的ルールの時は、タグをとられたプレーヤーが行う最初のパスを守る側はとれないというルールで、実質的にオフサイドのプレーが起こりにくいようにします。
- さらに、タグの後の最初のパスはとらないけれど、オフサイドの位置に残ってしまう守る側のプレーヤーの数が多くて攻める側がじゃまされることが増えてきたら、タグをとったらタグをとった人以外の守る側のプレーヤーはオフサイドラインまでいったん戻るという、オフサイドの厳格な適用を行います。
- レフリーは、タグをとることが起こったら、守る側に「タグをとった人より前に出ないで」と声かけをしてあげましょう。