「関西タグラグビーフェスティバル2011」 琵琶湖CUP in 長浜ドーム 実施報告書
長浜ドームで1,035・SMILE!本フェスティバルは,「誰もが気軽に楽しめるスポーツ」であるタグラグビーをより身近なものとし,「関西協会エリア(北陸・東海・近畿・中国・四国)一円のタグラグビープレーヤーとスポーツ愛好者が集い,タグラグビーの試合や体験教室を通じて交流・親睦を深め,もってタグラグビーの普及・振興を図る」ことを目的として,2009年度から実施しています。 今年度も,昨年度に引き続き,滋賀県湖北地区でのラグビー普及にご尽力されている「琵琶湖CUP運営委員会」にご支援いただき,近畿・東海・北陸の中間地点,滋賀県長浜市の長浜ドームを会場に,65チーム,約650人のタグラグビー愛好者が参加のもと盛大に開催されました。小学生のカテゴリーに経験者と初心者の部門を設けるとともに,誰もが参加できる性別・経験・年齢不問のカテゴリーを設置しました。つまり,家族や小学生・中学生・成人が混在したチームがエントリーできるようになり「タグラグビーがもつ誰もが同じステージでゲームを楽しめる」というシーンの演出を試みました。 参加チームは,北陸から石川県・富山県・福井県,東海からは,愛知県,近畿からは,地元滋賀県をはじめ,京都府・大阪府・奈良県・兵庫県・和歌山県と6府県すべてから参加,中国からは,遠路,岡山県からご参加を得ての開催,昨年度の運営ノウハウの蓄積を生かし,増え続けるエントリーに嬉しい悲鳴を上げながら準備を進め,エントリーメールに添えられた皆さまからのメッセージに,タグラグビーに寄せる思いの強さを感じながらの大会当日となりました。
当日,スペシャルゲストとして,女子ラグビーのトッププレーヤーであり,かつてサントリーカップのプレーヤーと監督双方で優勝経験のある鈴木彩香選手、同じく元日本代表プレーヤーで,「京都ガールズクリニック」をはじめとする女子ラグビープレーヤーの育成に取り組んでおられる鎌多春香選手が駆けつけてくださり,子どもたち,とりわけ女子タグラグビープレーヤーに大きな夢を提供していただきました。両選手にサインや記念撮影を求める子どもたち,未来の自分の姿をお二人に重ねようとしていたように感じました。 鈴木・鎌多両選手は,京都の女子中・小学生ラガー5人とともに「チームスズキ」を急遽結成し,近江カップのゲームに参戦。素晴らしい切れ味のステップと華麗なロングパスで観衆を魅了していました。相手チームはもちろん自チームの女子選手たちにも忘れられない思い出になったのではと思います。いつかこの大会に参加いただいた方から,女子ラグビーの将来を背負うようなプレーヤーが…,夢は広がります。 ゲームは,フィールドいっぱいに6面のコートを配置し,1チームにつき2〜4試合を設定しました。参加チームが膨らんだことを受け,急遽,屋外にもコートを確保し,参加者のタグラグビーをプレーする環境を整備しました。軽快なBGMが流れる中での6面同時進行でのゲームは圧巻です。ゲーム時間は,待ち時間などを考慮し,10分ワンハーフ。前のゲームが終わればすぐに次戦を行い,レフリーや記録は,前試合のチームが中心となって行うフレンドリーな試合形式。子ども達もタッチジャッジや点数表示などの運営に関わり,ゲーム以外の楽しさも味わってくれたのではないかと思います。 せっかく集まったタグ仲間。交流の機会を増やそうとゲーム前の整列時に,自チームの紹介を行い,ノーサイドの後には,それぞれのチームが相手チームの一番印象に残った選手を指名し,「MIP」として表彰することを各チームにお願いしました。恥ずかしがったり,なかなかMIPが決まらなかったりするのもご愛嬌。ゲームの前後に笑顔があるというのは,いいものです。一瞬のふれあいかもしれませんが,同じ時間を共有した仲間,またどこかで…となればいいなと感じました。 ルールは,細かいことに縛られず,攻撃有利の点の取り合いというスタイル。120試合を通じて1,035点,1試合あたり平均9点弱のトライ量産に会場は大いに沸きました。長浜ドームには,1,035の笑顔がもたらされたという事実。もちろん,トライがすべてではありませんが,たくさん点数が入る,得点する喜びを味わえるタグラグビー,その喜びが帰りの車中でも弾んでくれたのでは…と想像しています。 10分という短時間のため,トライ後だけでなく,フリーパスなどプレーの切れ目にも選手の入替えを認めるなど,このフェスティバルを楽しむための措置を講じました。ただし,安全については注意を払い,タッチダウンせずとも身体がゴールラインを越えれば「トライ」とする方式を採用し,事前に指導者から周知いただいていたからか小学生たちもとまどうことなく対応していました。 全国小学生大会予選出場OBチーム(現中学生)や保護者チームの参加が大会にアクセントを加え,小学生だけに楽しみを独占させまいと素晴らしいファイトが見られました。さすがに運動量が豊富なタグラグビー,体格のいいお父さん方の中には,激しいランニングゲームに息が上がる様子も見られましたが,顔は,とってもいい笑顔です。 小柄な小学生選手が機敏に動きまわり,大柄な腕に覚えのあるお父さん選手が子どもたちに翻弄される風景,お母さん選手が懸命に突っ走る姿,この国の未来を背負う子どもたちの素晴らしいステップ・パス…。 これぞ,タグラグビーの醍醐味!
会場中央には,タグラグビー体験のためのスペースを設け,ミニハードルやラダー,フラフープ等を使ってサーキットを実施。「フェスティバル」として形にとらわれず,ラグビー体験もと,タグラグビーとは少し趣を変えてコンタクトバックに激しくヒットする子どもたちの笑顔。「ぶつかって褒められる」という非日常を楽しんでくれたかと思います。タグラグビーとラグビー,子どもたちが感じているその隔たりは,大人のそれよりもさして大きくないのではと感じました。 ゲームを十分に堪能した後の表彰は,順位によることなく,「なかよし賞」,「遠来賞」など誰もが表彰されるチャンスがあるのもこのフェスティバルの特徴。トップリーグのグッズやラグビーボールなど豪華な賞品をめぐり,閉会式でもまたひと盛り上がり,参加者のお楽しみとなっていました。 多数の参加により盛大に開催できたことに感謝しつつ,今後は,より身近な地域で大小の交流会を頻繁に開催していく必要を感じました。今回のようなフレンドリーな大会や力試しをする大会,様々な形態を参加者が選択できるような機会を設けること,そのためには,今回参加いただいた役員やチームが中心となって,眼にされ,経験されたことをお住まいの地域で実践していただくことがタグラグビー発展に不可欠ではないかと思います。 準備期間から今日までを通じて,皆さまから寄せられたご期待やご意見からこのスポーツに寄せる多くの方々の強い思いを感じずにはいられませんでした。これらの貴重なご意見を検証・分析し,共有しながら改善することによって,タグラグビーがより良い環境のもと発展していくことを願ってやみません。 数年後に振り返った時に,「今回のフェスティバルが出発点となった」と回顧出来るかどうかは,速やかに,しっかりと検証・評価を行い,改善のうえ,計画,実行していくサイクルを確立できるかにかかっています。今,そのスタート地点に立てたことをたいへん嬉しく思います。
今後も,日本ラグビーフットボール協会の理念「WE ARE RUGBY FAMILY」の下に,タグラグビー・ラグビーがもつ魅力を共有し,ラグビーを愛する方々の支持を得ながらの普及活動を目指していきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。 結びに,今大会開催にあたり,ご協力,ご支援いただきましたすべての皆さまに心から感謝を申し上げ,実施報告とさせていただきます。ありがとうございました。 文責) |