ホーム
教えよう[中学校編] - 指導案(2) - 保健体育科学習指導案

教えよう[中学校編]

指導案(2) - 保健体育科学習指導案

PDFダウンロードはこちら

【期 日】平成29年12月12日(火)2校時
【対 象】3年生39名(男子19名、女子20名)
【場 所】K市立G中等学校校庭 指導者 〇〇 □□

1.単元

球 技( タグラグビー )

2.運動の特性

  1. 一般的特性
    アボールを持って相手をかわしたり、味方とのパスワークでゴールまでボールを運んだり、タグを取り、相手チームの攻撃を防いだり、作戦を工夫したりして得点を競い合うことが楽しい運動である。(機能的特性)
    イ2つのチームがコート内で攻撃と防御に分かれ、攻撃側は楕円形のボールを持って走ったり、自分よりも前に投げずにパスをしながら陣地を進めたりして相手のゴールラインを越え得点を取ろうとする。防御側は攻撃側の腰につけている「タグ」をとることで相手の前進を止めることができ、一定時間内で取れた得点を競い合う競技である。(構造的特性)
    ウ瞬発力や持久力、調整力をはじめ、多くの運動要素を含んでおり、様々な体力を向上させる競技である。また、試合を行うにあたりゲームの面白さを保証するために公平さや公正さが求められるため、ルールやマナーを守る姿勢や勝敗に対する公正な態度といった社会生活における望ましい態度を身につけられる運動でもある。(効果的特性)
  2. 生徒から見た特性
    アボールを手にもって自由に走り回れるため、ドリブルをする必要がなく、運動が苦手な生徒で
    も参加しやすい運動である。
    イボールを前に投げてはいけないというルールを難しく感じる運動である。ウタックルがないため接触プレイがなく、安全に楽しめる運動である。
    エ汗をびっしょりかくほどの運動量がある運動である。

3.単元の意義

  1. タグラグビーの学習を通して、瞬発力・持久力・調整力などの基本的な運動能力を高めるとともに、相手とゲームをする中で礼儀や公正さ、遵法などの態度を養うことができる。
  2. 球技種目特有の空いている空間を見つけ、走り込む動きやボール操作を身につけるとともに、タグラグビーの学習において必要とされる知識の理解を深めることができる。
  3. 自己やチームの能力に応じた目標を設定し、互いに協力し合いながらチームの課題解決のために必要な練習を行い、試合に生かすことで、楽しさや喜びを味わい、生涯スポーツへとつなげる
    ことができる。
  4. チーム内での自己の役割を自覚し、責任を果たしながら、計画的に試合や練習をすることで、望ましい人間関係を育成することができ、主体的に運動に取り組む態度を育成することができる。

4.生徒の実態及び考察

  1. 生徒の実態
    3年生の生徒は、非常に活発で、学習に対しても意欲的に取り組む生徒の多い学年である。スポーツテストでは、「立ち幅跳び」「長座体前屈」が全国平均を、「反復横跳び」が県平均を上回っており、瞬発的な能力や柔軟性に優れているという結果が出ている。部活動の入部率も7割を越えており、その中でも61名(男子39名、女子22名)の生徒が運動部に所属している。
    球技の学習は、1年生のときに「ゴール型」のサッカーと「ネット型」のバレーボールの学習をしており、2年生のときには「ベースボール型」のソフトボールと、「ゴール型」のバスケットボールを学習している。3年生では「ネット型」のバドミントンと「ゴール型」のタグラグビーを学習する計画である。本校にラグビー部があるため、本格的な経験者も7名(対象学級には2名)おり、小学校時代に授業でタグラグビーの経験があるものは各学級10名程度(対象学級男子6人女子1人計7人)いるという実態である。
  2. 考察中学での体育の学習も3年目になり、学習規律や自主的に学びを進めていくことに関してかなり
    定着してきているように感じている。単元初めの時間にオリエンテーションをもうけ、チーム内での役割を決め、その役割に応じて主体的に活動を進められるようになってきている。班長が班をまとめ、出欠を取り、準備係が率先してコート設営、道具の準備をし、体操係が準備運動を進んで行わせ、コーチ係がチームごとの練習に取り組もうとする姿が多く見られるようになってきており、自主的な学びの環境を自分たちで作れるようになってきた。

    しかし、その具体的な学びの深め方についてはまだ十分ではない面がある。2年時の球技の学習として行ったバスケットボールの学習では、「チームや自己の課題を見つける」こと、その「課題を克服するための練習方法を導き出す」ことに大きな課題があった。確かに自チームの動きを客観的に見させて、改善していく練習方法を考えていくことは容易なことではない。だが、より学習を深め、技能を向上させていくためにも、スポーツのより高いレベルでの面白さにふれさせるためにも、この科学的にスポーツと関わる課題解決学習は身につけていきたい力である。そこで、それらの力を身につけさせる手立てとして、「チームや自己の課題を見つける」ために、チームごとに作戦ボードを準備し、ゲームに出ていない生徒をチーム観察係として、チームの良い動きや良くなかった動き、空いているスペースなどの課題を見つけさせる役割を与えることとする。また、「課題を克服するための練習方法を導き出す」ために、チームの課題ごとにそれを改善するための練習方法を紹介した「課題別練習方法カード」「作戦例カード」を作成し、チーム練習の時間の練習内容を準備したカードの中から選択させる形をとることとする。

    タグラグビーの経験は、小学校での体育の授業で経験したという生徒が対象学級に7名おり、ラグビー部員が2名いるという実態である。そのため、2名を除いてはタグラグビーに対する技能や知識の個人差は小さいように感じる。タグラグビーの最大の面白さである「トライを取る」という経験を、多種目と比較したときに分かるその得点方法の容易さから、全員になるべく多く提供したい。ドリブルがないため、個人でのランニングスキルやチームでの作戦タイムに目を向けやすく、ゲームを盛り上げる際にとても大切な要素となってくるため、学習の中心にチームごとの課題解決学習(最大防御境界面をいかにして突破するか)を中心におくこととする。

    また、ほとんどの生徒が初めて経験する球技であるということから、技能のレベルに応じてルールの簡易化をする工夫や身体に運動経験として残っていくように準備運動の工夫が必要なように思われる。具体的には、これまでの「球技」の学習で経験したことのない「ボールを前に投げてはいけない」というルールに少しでも早く慣れることができるように、単元の前半では主運動に繋がるミニゲームを取り入れ、単元の後半では各チームの課題に応じた練習をチームごとに行うよう位置づけることとする。女子においては楕円球に対して恐怖心が少々あったため、ノックオンの反則は取らずに、ゲームの継続性を優先させることとする。オフサイドについても、その必要性がでてくるまでは特にその反則は取らないようにし、ゲームがぶつ切りになることを可能な限り避けるようにしたい。以上のことに留意しながら単元を進めていくことにする。

5.単元のねらい

  1. タグラグビーの特性に関心を持ち、自己やチームの課題解決に向けて、仲間と協力して積極的に取り組んでいる。【関心・意欲・態度】
  2. 自己やチームの課題を明らかにし、その課題に応じた計画を立て、課題解決に向けて練習を工夫することができる。【思考・判断】
  3. 自己やチームの能力に応じた課題の練習やゲームを通して、集団的技能や個人的技能を高めることができる。【技能】
  4. ゲームの運営に必要な事柄を理解し、実践することができる。【知識・理解】

6.学習指導上の方針

  1. 多くの生徒が「後ろにしかボールをパスできない」というルールのゲームが未経験のため、単元の前半では「主運動につながる準備運動」として「円陣パス」や「金魚のフン」などを行う。
  2. グループ学習を取り入れ、生徒同士でお互いの動きを観察し、チームの課題を把握し合い、チームや個々に応じた学習を充実させる。
  3. チームごとに課題は異なり、その課題克服のための練習方法も異なってくるため、課題に応じた練習カードを作成し、チームの課題ごとに選択できるようにする。
  4. 作戦を考え、広げていく手立てとして「作戦カード」を作成し、お互いの作戦を共有する機会を多く持てるようにする。
  5. ゲームは、一人ひとりの触球数が増えるよう4対4で行うこととし、セルフジャッジでゲームを進めることとする。ゲームの安全性を確保するために「身体接触は禁止」ということに関して は、厳しく守らせるようにする。

7.学習内容と指導計画

ねらい1:ルールやボール、チームに慣れながら、仲間と連携した作戦でゲームを楽しもう。
ねらい2:自チームや相手チームに適した作戦を立て、仲間と連携した動きでゲームの攻防を楽しもう。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
学習内容 1.オリエ ンテーショ ン
・ねらいの確認
・学習の流れの確認
・グループ分け
2.ボール (楕円球)遊 び
1.準備運動(この中から指定)
①円陣パス ②金魚のフン ③ランニングパス
④ロブ ザ ネスト ⑤3対2 ⑥チーム課題練習
タッチフット ゲーム トーナメント
  <ねらい①>
2.試しのゲーム
①ゲームI
②作戦、チーム練習
③ゲームII
<ねらい②>
2.総当り戦
①ゲームI
②作戦、チーム練習
③ゲームII

8.単元における評価基準

  ア 関心・意欲・態度 イ 思考・判断 ウ 技能 ウ 知識・理解
単元を通した評価規準 ・ 球技の楽しさや喜びを味わうことができるよう、フェアなプレイを守ろうとすること、分担した役割を果たそうとすること、作戦などについての話合いに参加しようとすることに積極的に取り組んでいる。
・ 健康・安全に留意して、学習に積極的に取り組もうとしている。
球技をより豊かに実践するための自己の学習課題に応じた運動の取り組み方を工夫している。 球技の特性に応じて、ゲームを展開するための作戦に応じた技能や仲間と連携した動きを身につ けている。 球技の特性や成り立ち、技術の名称や行い方、体力の高め方、試合の行い方を理解している。
学習活動に即した評価規準 ・ 球技の学習に積極的に取り組もうとしている。
・ フェアなプレイを守ろうとしている。
・ 分担した役割を果たそうとしている。
・ 作戦などについての話合いに貢献しようとしている。
・ 互いに助け合い教え合おうとしている。
・ 健康・安全を確保している。
・ 提供された作戦や戦術から自己のチームや相手チームの特徴を踏まえた作戦や戦術を選んでいる。
・ 仲間に対して、技術的な課題や有効な練習方法の選択について指摘している。
・ 作戦などの話合いの場面で、合意を形成するための適切なかかわり方を見付けている。
・ 健康や安全を確保するために、体調に応じて適切な習方法を選んでいる。
・ 球技を継続して楽しむための自己に適した関わり方を見付けている。
・ ゴール前への侵入などから攻防を展開するための安定したボール操作と空間を作りだすなどの動きができる
・ 技術の名称や行い方について、学習した具体例を挙げている。
・ 球技に関連した体力の高め方について、学習した具体例を挙げている。
・ 運動観察の方法について、理解したことを言ったり、書き出したりしている。
・ 試合の行い方について、学習した具体例を挙げている。

9.本時の実際

  1. 指導区分
    5/12 (全12時間扱いの5時間目)
  2. 本時のねらい
    ア 自己やチームの課題解決に向けて、仲間と協力して積極的に取り組んでいる。
    イ チームで立てた作戦を連携した動きで遂行し、攻防を展開することができる。
    ウ 互いに協力し、励まし合い、安全に留意しながら学習に取り組むことができる。
  3. 学習過程
過程 学習活動 指導上の留意点
(指導内容・評価とその方法)
導入
(10分)
1 出欠確認、健康観察を行う。
2 チームごとに準備運動を行う。
(1)体操
(2)作戦タイム&チーム練習
3 集合・整列・あいさつをする。
4 前時の振り返りと本時の目標、流れの確認をする。
○ 生徒の健康状態の確認をする。
○ ケガをしないように丁寧に行わせる。(特にアキレス腱・手首・足首には注意をさせながら行う)
○ 前時に立てた作戦を振り返り、「作戦カード」等を参考にしながら、新たな作戦を立て、練習を行わせる。
○ 前時の学習の流れを踏まえたうえで、本時の 学習目標と本時の流れを説明し、生徒に学習の見通しを持たせる。
展開
(30分)
学習課題
自チームや相手チームに適した作戦を立て、仲間と連携した動きでゲームの攻防を展開しよう。
5 前時の課題を踏まえての作戦タイム&チーム練習(6 分)
6 対抗戦3試合目 前半(7分)
7 作戦タイム、チーム練習(10分)
8 対抗戦3試合目 後半
○前時に立てた作戦を振り返り、「作戦カード」等を参考にしながら、新たな作戦を立て、練習を行わせる。
○チーム練習で取り組んだことを意識してゲームができるようにするための声をかける。
○ゲームに参加しないメンバーや見学者は作戦ボードを持ち、空いている空間を探し、そこに走り込むように指示をしたり、新たなチームの課題を見つけたりさせる。
・ボールを持っていないときに空いている空間を見つけ走り込んでいるか。(技能、観察)
○作戦ボードを使いながら新たに出てきたチームの課題を挙げさせ、その克服・改善のための練習を行わせる。
○課題解決学習ができるよう、課題の意識化や学習資料の使用方法を巡回指導する。
・互いに協力し合い、積極的に課題解決に取り組んでいるか。(関心・意欲・態度、観察)
○作戦タイムで立てた作戦を実行できるよう、課題を克服できるよう、声をかける。
・課題克服に取り組めているか。(技能、観察)
終末
(10分)
7 チームごとに学習課題に対する振り返りをする。
(観点)
1 自チームや相手チームに適した作戦が立てられたか。
2 仲間と連携して作戦を遂行できたか。
8 次時の学習内容を確認する。
9 健康観察、あいさつをする。
○チームごとに目標を達成できたか、改善点はないかを振り返り、次時に向けて作戦を練り直す。
・自チームや個人の課題について明らかにし、その課題解決の方法を考えられているか。
(思考・判断、観察)
○振り返りで考えたことを全体で発表させ、共有化させる。
  1. 評価
    ア 自己やチームの課題解決に向けて、仲間と協力して積極的に取り組めたか。
    イ チームで立てた作戦を連携した動きで遂行し、攻防を展開することができたか。
    ウ 互いに協力し、励まし合い、安全に留意しながら学習に取り組むことができたか。
前へ
次へ