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教えよう - タグラグビーの授業づくり1「授業づくりのポイント」

教えよう

タグラグビーの授業づくり1「授業づくりのポイント」

ここではタグラグビーの授業づくりについて、実践例をもとにして考えていきます。最初に、どのようなことに配慮してタグラグビーの授業づくりをおこなえばよいのかについてポイントを絞って確認しましょう。

■低学年(1年生・2年生)では・・・

校庭中所狭しと鬼遊び(鬼ごっこ)をする子どもたちの姿をよく見かけます。鬼遊びでは、スピードをコントロールしたり急な方向転換をしたりする動きが要求されますし、鬼が相手を追い込んでいくための簡単な作戦を考え実行する必要が生じます。これらの経験は、すべてのボールゲームの基礎となる動き方や学び方となります。この鬼遊びの運動特性を活用し、低学年ではタグラグビーのゲームをおこなうよりも、タグラグビーに発展する可能性のある鬼遊びをおこなうとよいでしょう。

たとえば、「タグとり鬼」や「宝とり鬼」、「宝運び鬼」といった鬼遊びを実践してみます。相手のタグをとったり、相手の守りをかいくぐったりしながら競争することができます。ところが、こういった鬼遊びをする場合、タグを2本ともとられてしまったために、プレーから外れコートの外へ出て待っている子が生まれてしまいます。タグを2本とられても仲間からタグをもらってプレーに復活できるような、苦手な子にとってやさしいルールに工夫する必要があります。

ここで留意したいのは、「タグラグビーに発展させるための鬼遊びをしなくては!」と過度に考える必要はないということです。鬼遊びによって、子どもたちは多様な運動経験を獲得します。同様に、「タグとり鬼」や「宝とり鬼」、「宝運び鬼」をプレーすることで、子どもたちはタグラグビーと類似した動きを自然に獲得します。しかし、教師がタグラグビーのゲームへの系統性を強く意識して鬼遊びを実施した場合、難しい動き方を教えようとしてしまうかもしれません。鬼遊びを難しくしてしまわないことは、大切なポイントです。

■中学年(3年生・4年生)では・・・

中学年では、鬼遊びで培った動きを大切にしながら、タグラグビーのゲームをスタートしたいと思います。しかし、子どもたちは楕円球を触った経験はほとんどないでしょうし、前方へパスをしてはいけないというルールでボールゲームをおこなった経験もありません。こういった運動経験を保障する準備運動を取り入れるとよいと思います。

ボールゲームのおもしろさは得点を取り合う競争にあります。タグラグビーも同様ですから、初めはパスミスをして相手ボールになったりタッチに出たりしないかぎりは、タグを何回とられても攻撃を続けられるルールにして、トライする喜びを多くの子が味わえるようにするとよいでしょう。単元の前半には、クラス全員がトライすることを教師の頭の中の目標にして実践してください。

また、ボールを抱えて自由に走ることができるという運動特性を活用し、「ボールを持ったらタグをとられるまで走ろう」「タグをとられてからパスを出そう」といった合言葉を用いることで、個人でできる工夫した動きがみられるようになります。

子どもの実態に配慮しながら、初めはランニング中心のゲームからスタートし、その後パスを加えたゲームへと発展させるとよいでしょう。

■高学年(5年生・6年生)では・・・

高学年であっても、はじめてタグラグビーをおこなう場合は、中学年への指導が参考になると思います。また、すでに学習経験のある子どもも、その経験は何か月も以前のものですから、単元当初はタグラグビーのゲームを思い出し、慣れる時間が必要です。

慣れてきたら、グループで作戦を考え、パスを駆使した連係プレーをめざすとよいでしょう。しかし、子どもたちは作戦のバリエーションを多くは持っていません。教師から適宜示し、練習する時間を確保することは大切なポイントです。

ゲームの攻防が高まってきたら、ノックオンを適用したりタグをとられる回数によって攻撃を制限したりするなどルールを難しくし、実態に合わせた適度な制約の中で、どのようにトライシーンを創り出すのかをグループで考えさせ、タグラグビーのおもしろさをさらに味わえるようにしましょう。
さあ、これから紹介する実践例を参考にしながら、素敵なタグラグビーの授業を創り出そうではありませんか!

※小学館「公式BOOK だれでもできるタグラグビー」編著・鈴木秀人より引用

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